綾野剛、モチベーションの上げ方は「最高の仲間を見つけること」Netflixシリーズ『新聞記者』ワールドプレミア



Netflixシリーズ『新聞記者』のワールドプレミアが行われ、米倉涼子、綾野剛、横浜流星、藤井道人監督が登壇した。(2022年1月10日 イイノホール)

2019年に公開された映画『新聞記者』は、政治やスキャンダルを正面から描いたタブーに挑戦した衝撃的な内容が話題となり、「第43回アカデミー賞」最優秀作品賞をはじめ主要3部門を受賞し、数々の映画祭でも高く評価された。その問題作がさらにスケールアップする。全6話のドラマとしてキャストを一新し、新たな物語であるNetflixシリーズ『新聞記者』として全世界同時配信が決定。監督は映画版に続き、藤井道人が続投している。

強い信念を持つ東都新聞社会部記者・松田杏奈を演じた米倉は「どんなふうに我慢して、耐えて、夢を持ってというようなドラマ。ドラマにしては上等すぎるんじゃないのという内容になっています」と自信をのぞかせ、新聞配達をしながら大学に通う就活生・木下亮役の横浜は「世の中の出来事に対して切り離している部分があった。自分ごととして捉えられ、考えさせられるきっかけになった」と本作の感想を述べた。

藤井組に初参加となる米倉だが、撮影当時について「粘り強さで言ったら横に出るものはいない、藤井監督。いやー、辛い時もありました。だけど監督にゆだねようと思ったのは、どんな質問をしてもすぐに返ってくる。どんな時も意見があり、こんな風にしてほしいという思いが伝わる。そんな監督に出会えてラッキーだったなと思いますね」と振り返り、辛かった点を「みなさんのイメージはものすごく元気で強くてパワフルな米倉涼子。それと対照的な役をやったので我慢した部分もありましたね」と今までのイメージとは異なる役どころに葛藤したことがうかがえた。

エリート官僚でありながらも、理想と組織の狭間で揺れる村上真一役の綾野は「誰かが誰かを支えるチーム力がすごくある現場だった。米倉さんはその真ん中で立ち続けてくれましたし、流星くんはそのなかで新しい風になって。苦しかったのは、美味しいはずのご飯がどんどん美味しくなくなるんですよ。それはすごくラッキーで」と話していると、横から米倉が「なんで?って聞いてほしい?」とニヤリ。「村上を演じるとどんどん味がしなくなるんですよ。それをラッキーだと思っている自分がいる」とストイックな綾野の一面があらわになった。

観客たちから事前に質問を募り、キャストと監督が答えるQ&Aが行われた。

質問 看護学生になれたが、周りと比べて向いてないんじゃないかと落ち込む。自分が俳優業に向いてないと思った瞬間はありますか?その際、どうやって乗り越えましたか?

米倉「私は天職なのかどうかは、まだ確信したことはないんですね。やってやるという思いと、やり通したい思い。隣の芝生が青く見えるタイプ。自分に納得したことがなく、まだまだ自分には足りないと思うことが多くて。自分に向いてないと思ったことも、越えてやろう!クソ野郎!という悔しい思いで生きてる。どんな居場所も楽なことはきっとないと思っているし、壁にぶち当たって越えるみないとわからない。もっと泥まみれになってください。その方が大人になった時に楽になる気がする」

横浜「僕も今の自分に満足しないからこそ頑張れるし、自分の代わりなんていくらでもいるので。十代の頃は比べてしまう時期はあって、向いてないんじゃないかって思うこともありました。ただ、自分が決めた道だし、単純に芝居が好きだし。辞めるっていう選択肢はなくて。時間もどんどん過ぎていくので、落ち込んでる暇も比べる暇もない。今に全力を尽くせばそういうことを考えなくなりました」

質問 役者を志していますが、脚本読解を課題に挙げて取り組んでいます。台本を受け取って読解に入る中に最も重視している部分は?演じた村上の最も大切にした部分は?

綾野「好きなように読んだ方がいいと思います。脚本は答えがないので。今日まで体感してきたことだけで読んでいいと思います。自分自身を否定する必要はなく、こう思ったということがより大事で、僕はそれを受け止めたいです。村上から何かが伝わっていくのではなくて、村上を通して松田さんや亮さんの眼差しから感じ取っていただく感情を線に繋いでいた。僕から何かを発信していくというより、最終的には亮が誰の目線でもあると思うんです。そこに行きつくにはどうしたらいいかということだけを考えて役を生きていました」

質問 仕事のモチベーションの上げ方を教えてほしい。
綾野「最高の仲間を見つけるってことですかね。自分を磨いてくれて、自分がかなわないと思っている人といつづけること。僕の周りには天才が多すぎて、凡人の自分が必死に食らいついていくと、後天性で生まれてくる発想とかを信じられるようになるんですね。後天性は自分の生きた証がそのまま出ると思うので。モチベーションを高く保つために、自分を磨いてくれる仲間を見つける」

成人の日にちなみ、20歳のころを振り返って今伝えたいことを求められると、米倉は「時は戻せないから、後回しでもいいと思うことはずっと後回しになる。ちょっとでもやりたいなと思ってることはすぐに手を出した方がスッキリする。間違ってたと思うことは辞めたらいい。はじめないと何も進まないから、一歩出る勇気を持ってもらいたい」とアドバイス。

綾野は「いっぱいご飯食べて。食べるパワーは生きるパワーに直結していると思ってて。やりたいことを見つけるのが大変な人たちもいると思うんですよね。仲間を見つける。仲間に教えてもらったことが自分の夢になったっていいじゃないですか。僕だって自分が俳優になると思ってなくて、大好きな仕事を見つけてくれた人がいたので。それが大事だと思います。まずは食べよう」と実体験をもとに語り、横浜は「今この瞬間を大事にして欲しいなと。全力で楽しんでくれたら嬉しいなって思います」とエールを送った。

取材・撮影 南野こずえ

Netflixシリーズ『新聞記者』
2022年1月13日、Netflixにて全世界同時独占配信

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